八王子の千人同心

6年後の2020年に開催される「東京オリンピック/東京パラリンピック」。

50年前の東京オリンピックで、八王子市では自転車競技が行われ
海外の方との交流が盛んに行われたとのこと。
50年前ですね。映画の「ALWAYS」の情景が思い浮かびます。
その昔、鎖国をしていた江戸時代に海外諸国との交流の必要性を
説いた八王子の「千人同心」がいました。
18世紀後半、ロシアの接近を心配した幕府は、北方の警備を強化
していました。こうした状況の中、千人同心の松本斗機蔵(まつもと
ときぞう)は、海外事情に強い関心を持ち、八王子を訪れた北方探索
の第一人者の最上徳内(もがみとくない)から、最新の情報を入手
するなど、知識を深め、著書「献芹微衷(けんきんびちゅう)」を
記します。松本斗機蔵は、国防の大切さを訴えながらも和親外交を
交易問題を具体的に提言。「西洋諸国と積極的に付きあうべき」と
いうその主張は、当時の外交政策の一大転換を求めた注目すべきも
のでした。また、モリソン号が江戸湾(東京湾)に来航するとの
情報を得た松本斗機蔵は、幕府に打ち払いの強硬策をやめるよう
意見書を提出。千人同心の組頭という地位でありながら、海外に
視野を広げて見識を高め、幕府への提言を行った彼の業績は、
特筆すべきものです。そして、松本斗機蔵が唱えた外国との交流
という思想は、オリンピックやさまざまな場面で海外の方と交流
してきた現代に受け継がれているのですね。

~資料は郷土資料館より~