賃借物の修繕義務のこと

春分を過ぎたというのに寒さがまた戻ってしまい
今日は北風が冷たい午後でした。
寒かったですね~。(+o+)
風邪等引かないように注意しましょうね。

さて、入居者さんより、ご友人のことでご相談がありました。
こんな場合はどうなのですか?というご質問を受けたので
こちらでも記しておきます。

Q.私の友人のことなんですが、先日退去の立会いで貸主と
  揉めたそうです。
  友人が住み始めて半年頃からトイレの便器にひび割れが
  出てきてそのまま使用していました。仕事が忙しく貸主
  には報告していなかったそうです。
  今回退去時に便器のひび割れのせいで、水漏れで床や壁が
  汚れてしまいましたが、これはひび割れたトイレを貸した
  責任が貸主にあるのでは?という友人の言い分と貸主側と
  では意見が違い揉めているようです。
  トイレの便器の修繕と床・壁紙の修繕の費用を負担する
  のは借主・貸主どちらなのでしょうか?

おトイレ ~イメージフォト~

おトイレ ~イメージフォト~

 

A.この場合、借主さんの負担となりますよ。

  判例として「民法615条(借主の通知義務)」があります。
  【 賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を
    主張する者があるときは、賃借人は遅滞なくその旨を
    賃貸人に通知しなけれなばらない。
    ただし、賃貸人が既にこれを知っているときはこの
    限りではない。 】

  今回、借主(入居者)が、便器のひび割れを発見した時点で
  貸主または管理会社に通知して、便器の補修または取替え
  をしていれば、水漏れ事故は発生していなかったでしょう。
  借主が通知義務を怠ったことで事故が発生して、床や壁
  クロスの補修工事が必要となってしまいました。

  便器にひび割れが生じた時点で早期に通知し、補修・取替え
  をしていれば水漏れも防げました。便器も補修で済んでいた
  かもしれません。不具合等を放置して被害が拡大した分、
  補修費用が増大してしまったので、今回の補修工事費用全額が
  借主負担になると考えられます。

  民法では、貸主に修繕義務を課す一方で、借主に対しては
  建物や設備に修繕の必要な不具合・故障を発見したときは、
  遅滞なくその旨を貸主に通知しなければならない義務を
  課しています。(民法615条)

  ということで、借主さんは建物(雨漏れなど)や、設備の
  不具合があったらすぐに連絡してくださいね。
  貸主さんの負担で修繕しますので。

  ただし、借主(入居者)さんが故意、過失で壊してしまった
  建物や設備に関しては、借主さんの費用負担で修繕します。
  乱暴に扱ったためドアを壊してしまったとか・・・。
  お子さんがボールで遊んで窓ガラスを割ってしまった等・・。
  その場合でも必ず遅滞なく連絡してくださいね。

  今回の便器のひび割れをそのまま放置してしまったこと
  の他、エアコンから水漏れしていたことをそのまま放置して
  しまい、壁紙を腐食させてしまったことなども事例に
  あがっていますのでご注意ください。