お部屋を借りる時に、会社の上司が連帯保証人になったケースでの
こんな例題を取り上げてみました。
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当初、借主Aが、お部屋を借りる時に、当時会社の上司だったBさんに
連帯保証人になってもらって賃貸借契約を取り交わしました。
しかし・・・その後、借主Bはその会社を辞めてしまい、家賃を滞納
して、連絡もとれなくなってしまいました。
そこで、家主Cさんから連帯保証人のBさんへ連絡をし、事情を説明し
Aさんのお家賃が3ヶ月も滞納になってしまい、連絡もとれなくなって
しまったことを伝えました。
しかし、会社も辞めてしまい、AさんとBさんの関係も途絶えており
Bさんも連絡をとっていない状況でBさんから家主Cさんへ
「もうこちらの会社も辞めているし、連絡もとっていない。
Aの両親は健在なので、両親の連絡先を教えますからAの両親に
話して家賃を支払ってもらったらどうですか?」
ということで・・・・
家主CさんはBの両親にお家賃を請求することができるのでしょうか?
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答えは・・・・
会社を辞めて関係がなくなってしまったとしても
借主Aの元上司Bさんは連帯保証人としての責任は
逃れられないのです。
民法上、「債務の弁済は、第三者もすることができる。」と
されており、原則として、賃貸人の両親から滞納分の賃料を支払って
もらうこと自体は適法で問題なさそうですが・・・。
しかし、ここで両親に督促をすることは多くの問題がでてきます。
まず、一部例外はあるものの、本人の同意なしで個人情報を提供する
ことは「個人情報保護法」により禁止されています。
賃料の滞納情報は個人データを構成するものであり、たとえ借主の
両親であっても、借主が賃料を滞納していることを告げることは
個人情報保護法に違反する可能性が高い行為となりそうです。
また、賃料について第三者に対する弁済を要求する行為が禁止対象と
して検討されている経緯があるので第三者弁済を求めることは
その態様次第では民法上の「不法行為」にあたる可能性も十分に
考えられるので注意が必要となりそうです。
これらをみると、連帯保証人ではない両親に滞納賃料の弁済を求め
ることは難しく、借主がその会社を辞めているとはいえ、元上司の
Bさんは連帯保証人としての責任を免れるものではないので、Bさんが
滞納賃料を弁済しなくてはいけなくなります。
・・・ということで、
「連帯保証人」という役目は重要な責任も負うことを覚悟の上、
ならないといけませんね。
最近では、このようなトラブルを回避するためにも連帯保証人の
変わりに「賃貸保証会社」が引き受けるケースがあります。
賃貸保証料を支払って、賃貸保証会社と保証契約を取り交わし
賃貸借契約を締結する方法も増えてきています。